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機能要件と非機能要件の違い

システム設計の根幹となる「機能要件」と「非機能要件」の定義・違い・具体例を体系的に解説します。

機能要件とは

機能要件とは、システムが「何をするか(What)」を定義した要件です。ユーザーやビジネスが期待するシステムの振る舞いや機能そのものを記述します。ユーザーストーリー・ユースケース・画面仕様などの形で表現されることが多いです。

機能要件の例
  • • ユーザーがメールアドレスとパスワードでログインできる
  • • レポートを PDF・Excel 形式でダウンロードできる
  • • 管理者がユーザーのアクセス権限を設定できる
  • • 検索結果を日付・カテゴリ・評価でソートできる
  • • 購入完了後に確認メールが自動送信される

機能要件は比較的テストが容易で、「〇〇ができる/できない」という形で合否を判断しやすい特徴があります。

非機能要件とは

非機能要件とは、システムが「どのように動くか(How)」を定義した要件です。機能の品質・制約・特性を記述し、ユーザー体験やシステムの信頼性に大きく影響します。

非機能要件の例
  • • 月間稼働率 99.9%(ダウンタイム月4.4時間以内)
  • • 全 API レスポンスタイム 95パーセンタイルで 2 秒以内
  • • 同時接続 1,000 ユーザーでも性能劣化なし
  • • 個人情報は AES-256 で暗号化して保存
  • • 障害発生から 4 時間以内に復旧(RTO ≤ 4h)

非機能要件はアーキテクチャの選択・クラウドサービスの選定・インフラ設計に直結します。見落とすと後から対応コストが大幅に増加します。

8 つの非機能要件カテゴリ

可用性

稼働率・ダウンタイム許容・冗長化

スケーラビリティ

負荷増加への対応能力・水平/垂直拡張

性能

レスポンスタイム・スループット・レイテンシ

セキュリティ

認証・認可・暗号化・脆弱性対策

データ保護

バックアップ・DR・RTO/RPO・保持期間

可観測性

ログ・メトリクス・トレース・アラート

保守性

デプロイ戦略・コード品質・ドキュメント

コンプライアンス

GDPR・SOC2・PCI-DSS・個人情報保護法

両者の違いまとめ

観点機能要件非機能要件
定義「何をするか」の機能仕様「どのように動くか」の品質特性
具体例ログイン機能、PDF ダウンロード稼働率 99.9%、応答 2 秒以内
テスト方法機能テスト・受け入れテスト負荷テスト・セキュリティ診断・可用性検証
設計への影響画面設計・API 設計・ビジネスロジックインフラ構成・クラウドサービス選定・セキュリティ設計

なぜ非機能要件が見落とされるか

非機能要件が見落とされる主な理由は、要件定義フェーズにおいてユーザーやビジネス側が「機能(何ができるか)」を優先して語りがちであることです。「99.9% の可用性が必要ですか?」という問いに対して、重要性を認識していなければ「はい」と答えてもその意味を理解しないまま進んでしまいます。

また、非機能要件はアーキテクチャ・インフラ設計に直結するため、エンジニア側が暗黙の前提として扱いがちです。しかし、可用性要件の違いで構成コストが 2〜3 倍変わることもあり、早期の明確化が不可欠です。

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